宝石査定で屈折系を使う!質屋の査定方法を公開

投稿日:2014年5月27日 更新日:2020年06月19日

宝石査定で屈折系を使う

熊本の質屋 質乃蔵です。

宝石査定のときに屈折系という道具を使います。質屋の査定方法をご紹介しますね。

各宝石は固有の屈折率を持っていますので、屈折率を測定することで宝石名が決められます!宝石名というか、鉱物名の決定でしょう。例として「1.760-1.769」だったらコランダムと決定できる。それが赤ければルビーその他の色はサファイアとなります。

ブルーサファイア、ピンクサファイア等「1.549-1.540」だったらクォーツです。無色はロッククリスタル、黄色はシトリン、紫色でしたらアメシストとなります。「1.570-1.575」はベリルですが、1.56~1.59くらいまで産地、色(含まれる成分によって)などで異なる。合成エメラルドは、合成方法、メーカーで違います。クロムグリーンはエメラルド、海水青色はアクアマリーン、赤~ピンクはモルガナイト、他は **ベリル、**は色名です。ただし次のことはよく知っておいてください。

天然、合成ともに同じ数値のことが多い。例外として、エメラルドの天然、合成は異なるが、最近の熱水法合成エメラルドには通用しない。フラックス法合成エメラルドは、1.56付近で天然より低く解かりやすかったが。熱水法は天然に近い。1.57~1.58位。天然は1.57以上で産地により1.59まである。

1.40から1.78くらいまでは測定できるがそれ以上はオーバースケールで測れません。ダイアモンドとダイアモンド類似石については、赤外線表面反射率計を使用して測っております。これは、赤外線の表面反射率を受光センサーにより電気の量に変換しメーターに表示し、おおよその屈折率を推測する器具です。

私は東京光学(トプコン)の屈折計を使っております。屈折率1.81の高屈折ガラスに、調べようとする宝石を屈折液(高屈折率の)で密着させ、一方からの光線に対しての全反射領域の境目を屈折率に比例したスケールに置き換えて測定するものです。近山先生のお話で、日本では農業用の糖度計の普及により同じ原理の宝石屈折計の開発が容易だったと聞いております。

この高屈折ガラスの部分は、常に硬い宝石のファセット面に接するのでキズが入りやすい。私の屈折計は30年以上使っていますが、二度ほどこのガラスを交換しました。

今もキズが入っています。この部分は消耗品かもしれません。全宝協がなくなったためどうしようかと考え、スペアも用意しています。屈折液も消耗品で数千円しますが、中宝研にお願いして取り寄せてもらっています。

(私の宝石師匠 潤二師匠より)